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Q. 今後、私たちの未来がどうなっていくのか。皆さんの考えをお聞かせください。

画像1山科:私が個人的に大好きだということもあるのですが、将来的にはロボットが日常生活のなかで当然のように活躍する時代が来ると考えています。作業レベルの仕事はオートメーション化され、今以上に人間は、創造性あふれる仕事に時間を割けるような未来になっていくのではないでしょうか。
広渡:ライフスタイルという観点から言うと、家事や買物を代行してくれるようなロボットが登場するかもしれませんね。そうなれば家族と過ごす時間が増えますし、身体が不自由な方や介護する方の負担も減らすことができます。
稲垣:なんだかロボットというキーワードを聞くだけでワクワクしますね。私自身はビジュアルコミュニケーション分野を担当しているのですが、10年、20年先には「情報を伝達する手段」にも大きな変革が起こっていると思います。

画像1 山科:確かにここ数年でSNSをはじめ、コミュニケーション形態に様々な変化が起こっていますね。
稲垣:ええ。現在も世の中では2、3年の間に急激なスピードでイノベーションが起こっているのですが、将来的には"まるでそこにいるかのような遠隔コミュニケーション"が実現しているかもしれません。すでにテレビ会議の領域ではモニターやタブレット端末といったハードを取っ払って"リアリティ"を追求しようとする実験もありますし、いつかは人間の「触覚」「味覚」「嗅覚」といった領域にまで踏み込んだ方法が生み出されるかもしれません。
広渡:ホログラムもコンサートで利用されるようになってきていますし、SF映画に登場するようなコミュニケーションも現実味を帯びてきましたね。
稲垣:数年前なら空想やファンタジーだけの話だったものが、もはや夢物語ではなくなってきたということなのでしょう。

Q. ワクワクするような未来がある一方で私たちは将来どんな課題に直面しているのでしょうか。

広渡:私は研究所でエネルギーをテーマにしているのですが、今以上に石油資源の問題が深刻化しているのではと思っています。先ほどの話にも出てきたロボットなどは膨大なエネルギーを必要としますし、地球のためにも人類のためにもエネルギーを無駄にしないシステムや、代替エネルギーの発明が急務だと考えています。
稲垣:その光明は見えてきているのでしょうか。
広渡:まさに今、斬新な発想でエネルギーシステムを構築する研究も進められています。詳細は控えさせていただきたいのですが、実現することができればエネルギー問題の大きな打開策となるかもしれません。
稲垣:では、リコーから革新的なエネルギーシステムが発表される可能性もある?

画像1 広渡:もちろんありますね。具体的なお話ができなくてくやしいです(笑)
山科:エネルギーの問題に加えて、人口減少や高齢化も無視できませんね。日本は世界のトップを走る高齢先進国です。これは暗い話に聞こえますが、私たちが生み出すイノベーションが国際社会を牽引できる可能性を秘めた明るい話とも言えます。
広渡:労働人口が減少する一方で、介護の人材需要は増加していく。この危機を乗り越えるためにもロボット開発に期待するところは大きいですね。
稲垣:社会課題はもちろんですが、私はビジネスについても危惧していることがあります。すでに先進国は"充足の時代"ですが、将来は今以上に高性能、高品質なものが安価に手に入るようになります。そのとき、スペックの提供だけでは"価値"として認識されなくなる可能性がある。コピー機で言えば「1秒で何枚刷れる」というのは重要な機能ですが、これも行き過ぎると「従来の製品で充分満足している」となってしまいます。
山科:製品が成熟していくとスペック競争にフォーカスがあたり、本当に求められている価値とはなにか?という観点が希薄になる。これは私自身も経験した反省すべき点です。
稲垣:実際にお客様とお話しするなかでも単に製品説明をするだけではなかなかご納得いただけませんし、今後は「どんな素敵な世界を実現できるのか」というコンセプトを訴求できるメーカーだけが生き残っていくようになると考えています。

Q. そのような時代にあって、リコーはどのような役割を担っていると思いますか?

画像1 山科:「リコーがロボットを提供する」というのは荒唐無稽な話ではありません。ロボットの要素を大まかに説明すると「目で見て」「頭で考えて」「身体を動かす」の3つに分類できるのですが、弊社はすでに「光学センサー」「画像認識処理」「紙搬送駆動」といった必要な技術のすべてを網羅しています。
稲垣:確かに。複合機はロボットの先駆けとも呼ばれていますね。
山科:私たちリコーはこれまでOA(オフィス・オートメーション)機器を通じて職場での作業を減らし、人間の"時間"を生み出してきました。今後ますます「24時間をどう使うか」「どう使いたいか」の重要性は増してくるでしょうし、Next OAとしてリコーがロボット開発に着手することには大きな意味があります。
広渡:すでにカフェで仕事をする人が増えていますが、ロボットだけでなく"行った先がオフィスになる"という世界をつくるのも私たちの役割なのかもしれませんね。珈琲の香りを味わいながら、上司のホログラムと会議する。そんなシーンをソフトとハードの両面から支えていくことができれば、移動における無駄を省き、より有意義なことに時間を割けるようになります。
稲垣:ビジュアルコミュニケーションが進化すれば、時間という側面だけでなく"イノベーションを加速する"という価値も提供できるようになると思います。個人的には「イノベーション=多様なバックボーンを持つ人とのつながり」だと思っているのですが、自宅にいながら世界中の専門家とつながったり、交友関係を広げることができるようになれば"ぶっとんだアイデア"が生まれる可能性もグッと高まります。
山科:"未来におけるリコーの役割"が浮かび上がってきましたね。
広渡:革新的なライフスタイルの提案、ですよね?
山科:先に言われてしまいました(笑)。これまでリコーは紙の印刷に始まり「情報を伝える」という領域で専門性を発揮してきました。それはやがてコミュニケーションに昇華し、現代ではワークスタイルの変革において重要な役割を占めるようになっています。そしてオフィスという概念が変わりつつある今、ワークスタイルとライフスタイルの垣根はどんどん曖昧になってきている。将来的にリコーは「"情報を伝える"というテクノロジーを通して、革新的なライフスタイルを提案する」企業を目指していくべきなのかもしれません。
稲垣:その通りですね。スペックではなくコンセプトが重要視される時代が来れば、マーケティングという観点からもリコーが挑戦すべき道はそこにあると思います。

Q. 革新的なライフスタイルを提案する企業となるために、リコーはどのようなことを強化していくべきなのでしょうか?

画像1山科:リコーの顧客接点は世界中に広がっていますし、革新的な製品を生み出すことができれば地球規模で大きなインパクトを起こすことも可能です。ただ、それはあくまで"オフィス領域"の話。まったく新しい挑戦をするとき、どこまで対応できるのかは疑問です。
稲垣:現在はまだまだ「イノベーションのために最適化された組織・集団」ではないですよね。事業ごとに特化した形態をとっていますし、スペシャリスト同士が垣根を越えてつながるような横串のチームづくりは道半ばではないでしょうか。
広渡:今後はもっとイノベーションが起きやすいような組織環境をつくっていく必要がありますね。
山科:一方で、オフィス領域における我々の強みを捨てることが正解だとも思えません。
稲垣:私は「選択肢」を持っていることが、やがてはリコーの強みになっていくのではないかと思っています。
広渡:選択肢ですか?

画像1稲垣:ええ。やり方は色々あっていいと思うんです。縦型か横型かと限定してしまうのではなく、そのときに応じて「オフィス機器を開発するときには現状の組織で」「画期的なプロジェクトの場合は各部門から有志を集める」といった柔軟な選択をしていけばいい。
山科:実際に部門間を越えたプロジェクトベースの実績は生まれ始めていますね。
稲垣:おっしゃる通りです。RICOH THETAをはじめとしていくつかのアイデアは製品化することができましたし、これからも新事業開発のノウハウを積み上げていければと考えています。
広渡:チャレンジに寛容な企業風土も追い風になっていますし、これからは"リコーらしくない製品"がどんどん生まれていくのかもしれないですね。

Q. これからのリコーに必要な人材を教えてください。

山科:いわゆるπ型とよばれる人材です。専門性(I)と幅広い教養・人脈(T)。これに加えて起業家精神を有している(π)。そんな人にはぜひお会いしたいですね。業界や企業の垣根を越えてイノベーションを生み出す流れは加速していくでしょうし、今のリコーにはどんなことにでも挑戦できる面白さがあると思います。
稲垣:私もイノベーションを起こすためには一歩でも二歩でも専門外の領域に出て、多様なインプットをしていく必要があると思うんです。壁をつくらずに「なんでもやる」「チャレンジしてやろう」という"変化を楽しめる人"には、ぜひ新しい時代をつくる"共犯者"になってもらいたい(笑)
広渡:研究者の立場から言うと、たとえ専門外の知識が必要でも自ら新しい分野に挑戦できる人にお会いしたいですね。自身のテーマから飛び出すにはかなりのエネルギーが必要ですが、それさえも楽しめるような人に出会えることを期待しています。

画像1 山科:口で言うほど"変わる"ということは簡単ではありませんよね。リコーもまだまだ意識改革が必要だと思うこともあるのですが、最近では定期的に「イノベーションワークショップ」を開催するなど社内変革にも乗り出しています。これから入社する方だけでなく、私たち自身も変化を受け入れ、楽しんでいく必要がありますね。
稲垣:プロジェクトベースの実績が出てきたと言っても、今は"個人の力"に頼るところが大きい。今後は"組織の力"で革新を生み出していく必要がありますね。
広渡:研究所は技術の最前線にいると思うのですが、現在は20代が少なくて"壁を突破するエネルギー"が足りていないように感じます。ぜひ若い人のパワーで新しい風を吹かせてほしいですね。
山科:話は尽きませんが、残り時間もわずかのようです。ところで、2020年に向けてグループ全体を巻き込んだ企画を検討しているのですが、このあとお時間あったりしますか?
稲垣:面白そうですね。乗っかってもいいですか?
広渡:イノベーション、生まれちゃいそうですね(笑)